<所得税> 外れ馬券の必要経費性と馬券払戻金の所得区分
2013年7月12日:金曜日
(1)概要
元会社員の男性が、競馬予想ソフトを利用して、独自に考え出した抽出条件やプログラムを使って、全ての競馬場の、新馬戦と障害レースを除く全てのレースの馬券を購入することにより、多額の利益を得ていたが、所得税の確定申告をしていなかったもの。検察は平成19年から平成21年の3年間の所得を14億6000万円、所得税額を5億7000万円だとした。
(2)争点
①馬券の払戻金は一時所得と雑所得どちらに該当するか。
②外れ馬券の購入費用は必要経費になるか。
(3)課税庁の主張
①馬券の返戻金は一時所得に該当する。⇒馬券購入行為は、一般的に所得源泉としての継続性がないため。
②一時所得の必要経費は、その収入を得るために直接要した金額に限られるから、外れ馬券は必要経費にならない。
(4)納税者の主張
①本件の馬券の返戻金は雑所得に該当する。⇒本件の馬券購入行為は、所得源泉としての継続性が認められる。
②雑所得の必要経費は、その収入を得るために直接要した費用の額のほかに、販管費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額も認められるため、外れ馬券の購入費用は必要経費になる。
(5)判決要旨
①無申告についての正当な理由はないため、所得税法違反については有罪(懲役1年の求刑に対し懲役2ヶ月、執行猶予2年)。
②一般的な馬券の払戻金は一時所得に該当するが、本件の馬券の返戻金は雑所得に該当する。
③雑所得のため外れ馬券の購入費用も必要経費として認められる。
④平成19年から平成21年の所得は1億6000万円、所得税額は5200万円と認定する。
『実際の申告の際は、最寄りの税務署、最寄りの税理士にご相談下さい。』